★キネシオロジーへと続く道10
東京コレクションへの参加の中止が発表されて以後、
アトリエ内の雰囲気が徐々によくないものに変わっていきました。
また、そのころからデザイナーも、皆がお昼を食べに行く時間に出社してくるようになり、
仕事以外の話をする機会もめっきり減りました。
どういうわけだか、どのように上司に辞めることを伝えたのか、
今ではさっぱり覚えていません。
誰もはっきりと、ブランドがなくなると断言してはいませんでしたが、
誰もがそれを知っているかのようでした。
そのため、会社の中の誰からも、会社にとどまるように言う人はいませんでした。
辞める最後の1ヵ月は、それまで上司たちと一緒に外へ食べにいっていたお昼ご飯もやめにして、私は青山アンデルセンでパンを買って、それを会社のテーブルで食べたりしました。
思えば、私の何倍もの給料をもらっている上司たちと、
同じ場所で同じ価格のランチを食べるのは少ないお給料の下の者たちには苦痛でした。
しかし、これは後からわかったことですが、この会社はアパレルにしては給料が悪いほうではなかったのです。
例えば、すぐ近くにあった「少年のように」という名の会社。
あるとき、事務の長瀬さんという20代後半の女性の先輩が、
「今日、「少年のように」で働いているパタンナーの友達と一緒にランチにするから、
小林さんも一緒に来る?」と言われて、ついていったことがあります。
そこで私はいろいろと、その「少年のように」の内部事情を聞きました。
それによると、給料が少ないのでいつもは近くの青山大学の学食で食べていること、
今日は長瀬さんがおごってくれるというので、普通のレストランでランチを食べることになったことなどを教えてくれました。
その人は30歳近くの男性でした。大学の学食でしかランチが食べられないほどの給料とはどういうことだろうか、あんなに高い服を売っているのに、というのが私の感想でした。
現物のパターンはきちんと終わらせて、私と先輩一人は一緒にその会社を辞めました。
残ったのは取締役1人、営業2人、プレス1人、事務1人、生産管理1人、ニットデザイナー1人、デザイナー1人です。平均年齢は35歳。
20代の私と先輩は、行き止まりとわかっている道を進む彼らと別れて、違う道へそれぞれ進みました。
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